気温もぐっと下がって紅葉の景色も楽しめるようになり、すっかり秋めいて来ました。
もう11月も半ばですもんね。
朝のランニングのウエアもタンクトップから長袖になりました(ボトムはまだ半パンです)。
さて、今日は王道のモダン・ジャズの話です。チェット・ベイカーの’59年のアルバム「CHET」のご紹介。
このアルバムを初めて聴いたのはまだ10代の頃、チェット・ベイカー・シングスというボーカルもので有名なチェットのアルバムは知っていたけれど、ある店でこちらがかかっているのを聴いて店員さんにアルバム名を教えてもらい、その帰りに即買って帰ったのを覚えています。
そんな18歳だか19歳の頃に買ったLP盤を、50歳になった未だにたまに聴いているんだから物持ちいいですよね。
モダン・ジャズというと、若い人にとってはとっつきにくいとか古臭いとかあると思いますが、このアルバムに関しては全く難しい事もなくすんなり聴けるいいアルバムだと思います。
チェット・ベイカーは歌もうたう人だけあって、ツボを得たトランペットの柔らかく甘美なメロディーがとても心地よいです。
ペッパー・アダムスとハービー・マンがそれぞれサイドのソロイストとしてバリトン・サックスとフルートで固めているんですが、そちらも素晴らしくこのアルバムを彩っています。
そして、このアルバムを奥行き深いものにしている、あくまでも控えめで、個性的で美しく響くビル・エヴァンスのピアノバッキングがとても好きです。
情緒的で時に感傷的な包み込むようなチェットのトランペットと、理性的で奥深いビル・エヴァンスのピアノという正反対のタイプの2人の共演が聴ける珍しいアルバムでもあります(2人共ドラッグ中毒だったという共通点はありますが 笑)。
エヴァンスのピアノの代わりにケニー・バレルがギターでバッキングを務める「It Never Entered My Mind 」「September Song」の2曲こちらも美しくとてもいい曲です。
特に話題にも登らないとても地味なアルバムですが、しみじみ聴ける珠玉のバラード集で個人的に好きな1枚です。
今回は、家族が寝静まった深夜に明かりを落して真空管アンプの音量を絞ってゆっくりアナログレコードで聴きたくなるアルバムという事で紹介させて頂きました。
車の中やランニング中に聴くロックや流行りのブラック・ミュージックは、APPLE MUSICやSpotifyなどのデジタル音源で聴くんですが、やはりこういう古いジャズやブルース、R&Bは断然アナログレコードで聴く方がしっくりきますね。
ちょうど1970年生まれの僕は、ギリギリ最後のリアルタイムでアナログレコード世代でもあるし、同時にデジタルの良さももちろん理解出来るちょうど真ん中なのかも知れないですね。良くも悪くも。どっちが優れているなんて話ではなくてね。